金属のなぜ?素朴な疑問
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鉄をはじめとした金属、なぜ売れる?
日本は資源に乏しい国です。生活を支える物資のほとんどは、海外からの輸入に頼っています。一般消費者である私たちが日常の中で不用品と捉えるものでも、資源・原材料レベルで考えれば、それは日本の個人や企業がお金を払って輸入したものなのです。
鉄を例にとってみると・・・
再資源化 例 スチールパイプベッド(不用品)
▼ 資源として回収される
スクラップ化(有価物) 金属くず商の仕事!
▼ 規格に合わせて、加工・納入
製鋼会社 購入(原材料)⇒ 鉄鋼製品に再生!
鉄は「産業の米」って?
「産業の米」と言われているほど多方面で使用されている「鉄」。鉄が無ければ、建物、橋梁、鉄道、自動車の何ひとつ作れません。だから、「鉄」は「産業の米」。
鉄も海外からの輸入に頼っている品目のひとつです。
「鉄」自体が輸入されることもありますが、世界でも指折りの高炉メーカー(製鉄所)を国内に有する日本は、その原料(左図参照)を輸入し、「鉄」と言う金属を作り出します。
粗鋼生産高、後述の鉄スクラップ使用量・比率は、景気動向、需給動向で変動しますが、
世界の粗鋼生産高は、年間 約13億トン。
日本の粗鋼生産高は、年間 約1億トン。
そのうち、日本では約65%を原料を輸入しての高炉(溶鉱炉)メーカーでの還元鉄生産。約10%は、高炉メーカー転炉材、残り約25%が市中発生する老廃鉄スクラップを使用しての電気炉製鋼となっております。
ちなみに、この25%約2,500万トンが金属くず商の商材です。
膨大な労力と費用を要して
鉄鉱石とコークスを高炉に投入し、石油・ガスを用いて火入れし、あとはコークスの燃焼により高温で溶解させ、不純物を取り除きながら「銑鉄」を作り出すわけです。
しかし、そのような状態ではまだ使用可能な「鉄」とは言えません。そこから用途によっては添加材を加え、製鋼し、鋼(はがね)に加工して鋼材になり、圧延など様々な工程・経路を経て、ビルの鉄骨や鉄筋、各種機械や自動車の部品、貴方のご自宅にある包丁やハサミになります。これが、製鉄製鋼一貫の高炉材です。
電気炉製鋼は、高炉の使用する「銑鉄」の代わりに「鉄スクラップ」を使い、電気によって、鉄源を溶解し、製鋼=鉄鋼製品を生産します。
ここでは「鉄」を例に挙げましたが、その他にも日本にある資源や物資は、私たちの手元に届くまでに必要な労力と費用がかかっているのです。
再利用が重要視されてきた理由
かつて、発展途上国と呼ばれていた国々は発展を遂げ、資源を大量に必要としています。「欲しい人(国)があれば、値段が上がる」のは経済の常です。資源の需給バランス・為替要因で、私たちの生活必需品も値上がりしはじめたのも当然のことと言えるのではないでしょうか。 その昔から、「金属」「紙」などは製品になるまでに労力と費用を要する素材でありながら、再資源化が比較的容易なため、調達コストの削減を目的に、老廃物を原材料として売買してきた歴史があり、その流通システムが確立されています。
現在では、地球温暖化防止、省資源・省エネルギー化が人類共通の課題として認識され、あらためて、再利用・リサイクルが重要視されています。
ですから、労力・費用・時間の価値を持つ鉄などの金属は、その対価として、お金と交換することが可能なのです。
鉄スクラップ
鉄くず
ステンレス スクラップ
ステンレス鋼(JIS表記 SUS310、SUS316、SUS304、SUS430、SUS432など)※2
※2 JIS表記SUSとは…ステンレス鋼は100種類以上あり、成分の違いなどにより「SUS310」などの表記がしてあります
(例:スプーンだと、「18-8」です。18%のクロムと8%のニッケルを含むステンレス鋼、と言う意味です)。
銅スクラップ
銅
真鍮(黄銅)スクラップ
真鍮(黄銅)
※1 合金とは複数の金属が合成された金属で、銅がメインの成分だと銅合金となります。